動脈圧の呼吸性移動とは?Aラインの波形を読もう!
Aラインシリーズ第2弾です。
第1弾はこちらです↓
molsama.hatenablog.com
せっかく動脈カテーテルが入っているのに
動脈圧しか見てないってことないですか?
全然だめじゃないんですよ。
でも勿体ないです〜!
動脈圧波形で分かること
波形で分かることは色々あります。
下手くそなりに描いてみました。
波形の形
波形の立ち上がりが収縮期の始まりです。
大動脈弁が開いたところがゼロ点、左室から大動脈へ血液が流出し波形が立ち上がります。
この最初の立ち上がりが急峻であれば、収縮能がよいとされています。
動脈硬化が高い場合や、末梢血管が収縮して血管抵抗が高い場合も急峻になります。
この場合は先細りの波形になります。
大動脈弁閉鎖ノッチ
大動脈弁閉鎖ノッチはdicrotic notchとも言われます。
大動脈弁の閉鎖による血液の逆流から形成されるので
測定する部位が心臓から遠ざかるほど小さくなります。
大腿動脈で平坦化し、足背動脈で消失します。
このノッチの位置も重要です。
ノッチの位置が低く、その後の圧低下が急峻なほど末梢血管抵抗が低いことを示します。
循環血液量にも左右され、脱水でもノッチの位置は低くなります。
形で1回拍出量を予測
収縮期に相当するオレンジ部分の面積は、1回拍出量を表しています。
脈圧とは
脈圧とは、収縮期圧と拡張期圧の差のことで
波形の波の高さがそれにあたります。
下手なりに、こんな感じ。
脈圧が狭小化
脈圧が狭小化する病態には
大動脈弁狭窄症、心原性ショック
循環血液量減少性ショック、末梢血管収縮、寒冷
などがあります。
動脈圧の呼吸性変動とは
動脈圧の呼吸性変動も見るべきポイントです。
呼吸性変動とは、呼吸性に収縮期血圧や脈圧が変動することで
循環血液量低下の特徴的な所見です。
心タンポナーデや収縮期心膜炎でも見られます。
脈圧変動をPPV(pulse pressure variation)
1回拍出量変動をSVV(stroke volume variation)と言います。
変動が大きいほど循環血液量が低下しており、
PPVとSSVがともに13%以上で輸液反応性が高い(輸液負荷が効果的)といえます。
なぜ変動するか?
簡単にまとめると
循環血液量が不足している時…
吸気時、胸腔内陽圧により全身静脈還流が減少(⇒十分な循環血液量があればそんなに減少しない)
↓
右室の前負荷低下
それと同時に、吸気時に肺容積が増加
↓
右室の後負荷上昇(⇒十分な循環血液量があればそこまで影響がない)
これらによって陽圧吸気中に右室の駆出が低下
↓
右室から肺循環を介し、遅れて呼気時に左室の前負荷低下を招く
↓
呼気時に1回拍出量が低下する
↓
結果的に呼吸性に変動する
こんな感じです。
もしPPV、SVVが出るモニターでなかったとしても、呼吸性に変動しているかは見たらある程度分かりますね。
PPV、SVVともに、患者さんが完全な調節呼吸下であり
心房細動などの不整脈がなく洞調律であり
呼吸性変動を生じる1回換気量(理想体重×10mL)などが測定の必須条件です。
つまりこれらに当てはまらない時は参考にならないので注意してくださいね。
過去問
では最後に過去問を解いて終わります。
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観血的血圧測定法について正しいのはどれか。(3つ選択)
(1) 動脈圧波形から脈拍数を算出できる。
(2) 動脈圧波形から心拍出量を推定できる。
(3) 大動脈弁閉鎖不全症では脈圧が低下する。
(4) 脱水時には陽圧換気による脈圧の変動が減少する。
(5) 足背動脈では圧波形上の大動脈弁閉鎖ノッチが消失する。
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125が正解です!
全部書いてたことなので解説はいいかな?
今日はここまで〜😆
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