オペ室ナースの勉強blog

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CV留置の基礎を学ぼう。血管ごとのポイントや留置方法は?

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前回中心静脈圧(CVP)について学びました。

molsama.hatenablog.com




今回は中心静脈圧カテーテルの基礎を学んでいきましょう😊


分かってるわ!という方も復習がてら見ていってください。

意外と曖昧に覚えていた部分があるかも。


中心静脈カテーテルはなぜ必要なの?

①中心静脈圧モニタリングのため

・人工心肺を使用する手術
・出血や体液喪失が大きい手術
・血管内容量の評価をしたい場合

②投薬のため

・高濃度の血管作動薬
・高カロリー輸液療法
・化学療法
・末梢静脈に対して刺激性のある薬剤
・抗菌薬の長期投与

③急速輸液のため(太いカニューレ使用)

・大量出血が予想される手術
・外傷

④その他

・空気塞栓の吸入
・末梢静脈路確保が困難な症例
・血液検査を繰り返し実施する場合の採血部位



余談ですが、以前主治医からオペ室でCV留置依頼があり
麻酔科医は「出血するようなオぺじゃないし心臓も悪くないし要らないでしょ」
と準備していなかったのですが

主治医に確認すると
術後高カロリー輸液を入れるために依頼したことがわかり
入室後に大急ぎで準備するはめになりました(笑)



中心静脈カテーテル留置の禁忌

上大静脈症候群

上肢、鎖骨下、頸部からのアプローチでは絶対的禁忌です。

上大静脈の閉塞により高い中心静脈圧を示し
これは右房圧を反映しません。(要するにCVP測定の意味が無い)

また、血液は側副路を通って還流するため
薬物を投与してから到達するまでに時間がかかります


その他 相対的禁忌

・凝固機能障害

・ペースメーカ植え込みして間もない患者
(リードがずれることがあるため、4~6週間は控えるのが望ましい)




過去問① 血管の選択と合併症


まずは一問腕試しです。


********

中心静脈路確保を行う血管と起こりやすい合併症について,誤った組み合わせはどれか。

a 内頚静脈……………… 気胸
b 鎖骨下静脈…………… 血胸
c 外頚静脈……………… 留置困難
d 肘部皮静脈…………… 橈骨神経損傷
e 大腿静脈……………… カテーテル感染症

********








答えはdです!



中心静脈路の血管と覚えるべきポイント


中心静脈路確保に使われる血管とその特徴について説明していきます。

内頸静脈


穿刺が行いやすく、頭頸部の手術以外では第一選択となります。

気胸が起こりにくいと言われますが、起こらないというわけではありません

動脈穿刺のリスクも低いです。

右内頸静脈からのアプローチなら
ほぼ確実にカテーテルの先端を上大静脈~右房接合部に進められます。


鎖骨下静脈


術後管理がしやすく、感染のリスクが最も低いため長期留置に適しています

重篤な合併症である気胸や血胸のリスクが高いです。

陽圧換気による緊張性気胸に注意して観察しましょう。



尺側皮静脈、肘部皮静脈(上腕)


PICC(末梢穿刺中心静脈カテーテル)で使われることの多い血管です。

50cmほどの長いカテーテルが必要です。


末梢のため気胸を起こすことがほとんどなく、合併症が少ないのが特徴です。

静脈の走行によってはカテーテルを十分深く挿入できなかったり

内頸静脈に迷入してしまうことがあります。


迷入するのを防ぐにはカテーテル挿入時に頭部を穿刺側に向けるといいです。


内径が細く長いカテーテルだと
中心静脈圧波形を明瞭に描出できないことがあるので
CVPを測定するには不向きです。


大腿静脈


最も太く、カテーテル挿入が容易ですが

大腿動脈穿刺や静脈血栓症のリスクが高くなります

陰部に近いため感染のリスクも高く、長期留置には向きません

頭頸部の手術や上大静脈症候群には有用です。


長いカテーテル(40~70cm)を右房の接合部付近の下大静脈に留置するか

短いカテーテル(15~20cm)を大腿静脈から総腸骨静脈に留置する方法がとられます。

どちらのカテーテルであっても、カテーテルの先端が腹腔内にあるため
上大静脈中心静脈圧と値はほとんど変わらないそうです。


外頸静脈


静脈が浮き出ているので穿刺時のエコーガイドやランドマーク法が不要であり

穿刺に伴う合併症も少なく、止血が容易であるメリットがありますが

挿入の手技が難しいです。



中心静脈路確保の合併症

機械的血栓塞栓性、感染性の大きく3つに分類されます。

機械的合併症

動脈穿刺

最も頻度が高いです。

誤穿刺した場合は圧迫止血し血腫形成を防止する措置をとります。

血腫が増大し気道や神経系を圧迫することがあるので注意して観察します。

心タンポナーデ

最も致命的な合併症です。

カテーテル先端が上大静脈や心房の壁に接している場合や

誤って心室内に留置されている場合に起こることがあります。


気胸、血胸

鎖骨下静脈では動脈穿刺の次に多い合併症です。

確認のために、可能であれば挿入直後と数時間後の2回X-P撮影をするのが望ましいです。

その他

神経損傷、不整脈など



血栓塞栓性合併症


血栓塞栓症は集中治療中の患者の約15%に発生すると言われます。

静脈血栓症により静脈還流を阻害し上大静脈症候群を引き起こすことがあり

また血栓が飛んで肺血栓塞栓症となることもあります。


感染


感染には刺入部感染、カテーテル感染、血流感染、心内膜炎などが含まれます。


感染は最も頻度の高い合併症です。

中心静脈カテーテル留置している患者の約5%で発生すると言われます。

無菌操作に細心の注意を払い

内頸静脈や大腿静脈は感染のリスクが高いので
長期留置は鎖骨下静脈アプローチにします。





続いて、中心静脈路確保の方法についてです。

2問目を解いてみましょう!


過去問② 確保の方法と手順


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Seldinger 法による中心静脈確保の手順で,以下のうち 4 番目に行うのはどれか。

a 静脈穿刺
b カテーテル挿入
c ダイレーター挿入
d ガイドワイヤー挿入
e ガイドワイヤー抜去

********





答えはbです。

順番的には、a→d→c→b→e ですね。

詳しく解説していきます。


Seldinger(セルジンガー)法とは


ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを前進させ
血管内に留置する方法が最も一般的ですが

これを考案者の名前をとってセルジンガー法と呼ばれます。



見慣れている方も多いかもしれませんが
問題の復習かねて手順を学んでいきましょう。

手順


①静脈内に20G以上の針を穿刺する

②針が血管内に入ったら、針からガイドワイヤーを通していく

③針のみを抜き、ダイレータをガイドワイヤーに通し血管内に前進させ、カテーテル用の通路を作る

④ダイレータを抜き、カテーテルをガイドワイヤーに通し血管内に前進させ、カテーテル内に静脈血の逆流を確認する

⑤ガイドワイヤーを抜いてカテーテルを固定する



ランドマーク法とは


これもたまに試験問題で見かけますね。

解剖学的な目印を利用した中心静脈カニュレーションの方法です。


鎖骨下静脈や内頸静脈を穿刺する場合には
第一に胸鎖乳突筋の外側縁を見つけることです。


大腿静脈を穿刺する場合には大腿三角の解剖を理解し
大腿動脈の内側にアプローチします。


特に心肺蘇生時など緊急時の挿入に有用です。



エコーガイド下穿刺


ほとんどのケースはランドマーク法で中心静脈の確保が可能ですが
動脈と静脈の解剖学的位置は通常通りでないこともあるので

エコーガイド下で挿入した方が圧倒的に合併症が少なくて済みます。


日本麻酔科学会もエコーガイド下での挿入を推奨しています。

↑この麻酔科学会推奨って、周術期管理チーム認定の過去問で何度か出ています。
麻酔科学会主催の試験だから大事なポイントのようです😄




今日はCVの適応と禁忌、血管の選択、合併症、確保の方法を学びました。

これらは過去問にもよく出てくるので確実に点を取っていきましょう!


今日はここまで😆





【最後に】
周術期管理チーム認定試験を受けようと思っている方へ。
過去問は絶対やった方がいいです。断言します!
試験問題の雰囲気や自分のレベルを知ることができ
テキストに載っていなくて過去問に出てくる問題も多いです。
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