オペ室ナースの勉強blog

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ちゃんと分かりますか?静脈麻酔薬による循環動態への影響について

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以前静脈麻酔薬について話したけど循環動態への影響についてはスルーしてたので

今日はそこんとこ詳しくやっていきますね。



(↓過去の記事も参考にしてください)
molsama.hatenablog.com

molsama.hatenablog.com




ちょっとだけ小話

まず循環動態ってことで思い出した小話。


今は異動しちゃっていないんですが、以前ナルシストの麻酔科の先生がいました。


実はナルシストというのは、見た目の話ではないのです。



その人とオペが一緒になると、

「こさじさん、見て見て!今日の麻酔記録、めっちゃ美しいでしょ〜」

とよく自慢げに見せてきてました。



電カルでバイタルがパソコン上に出るんですが、

動脈圧とHRがずーっとほぼ平坦で変動していないんですよね。



「理想の麻酔でしょ〜」と自分の記録を見て惚れ惚れしてました。



彼は麻酔記録を美しくすることに命をかけてそうな人で

患者さんや手術によって循環コントロールが難しかった日は、「ちょ、見ないで!今日はだめなの、全然美しくないから…」
って落ち込んでました。


他の部屋の麻酔記録を見て

「こさじさん見て見て!この麻酔記録ひどくない?汚いねぇ〜!ここでこれしたのが間違いだよねぇ〜」

と他の先生を乏していることもあったり…(だめですね)


麻酔記録に美しいとか汚いとかの概念あるんだ…ってその人と出会って初めて知りました(笑)




ま、そんなわけで

今日は静脈麻酔薬の中でも循環動態への影響について焦点を当てていきたいと思います。





静脈麻酔薬の循環動態への影響

プロポフォール


まずプロポフォールですが、循環抑制が強く、体血管拡張作用が強い薬です。

そのためショック状態であったり高度の脱水の患者さん、心機能の悪い患者さんには注意しなければなりません。

重篤な低血圧となるリスクがあるためです。

レミフェンタニルの併用で高度の徐脈になることもあります。

ただ適切に昇圧剤を使用したり心機能に応じて適切な量を調節すれば使えないこともないです。


ミダゾラム

心疾患を合併した心機能低下のある患者さんは、導入にミダゾラム(商品名ドルミカム)を使用することが多いです。

ミダゾラムは循環抑制作用が軽微のため、循環変動が少ないです。

ただ循環変動が少ない反面、気管挿管刺激による交感神経反応の抑制も小さい(=刺激により血圧やHRが上がる)ので、オピオイドなどの適切な併用が必要になります。

ミダゾラムもショック患者さんには禁忌となっています。



チオペンタール


チオペンタールプロポフォールよりは徐脈・低血圧になりにくいですが、

高齢者、循環血液量が減少している患者さんでは循環抑制が強く出ることがあり、こちらもショック患者さんには禁忌となっています。



ケタミン


ショック患者さんの麻酔導入によく使用されるのはケタミンです。

投与時に血圧低下や徐脈が起こりにくいです。

逆にいうと、血圧が上がるため、脳圧亢進患者さんには使えません。

また、心筋酸素消費量が増加するため虚血性心疾患の症例には注意が必要です。



デクスメデトメジン


麻酔導入では使いませんが、デクスメデトメジン(商品名プレセデックス)についても。

鎮痛作用もあり一般的に低血圧、徐脈になります。

心機能低下、循環血液量減少患者さんでは低血圧となりやすいので注意が必要です。

また、心ブロックを伴う場合は高度徐脈になることもあります。

α2受容体は中枢性、末梢性に存在しています。

デクスメデトメジンは通常はα2A受容体を介して脊髄から中枢性に鎮痛作用を生じるのですが

ボーラスあるいは高濃度では、末梢性のα2B受容体が刺激されて高血圧を生じることもあります。


おわりに


静脈麻酔薬が影響するのは特に導入のときですけど


術中は手術の進行具合に応じて、吸入麻酔薬やオピオイドやその他鎮痛薬などなどバランスよく上手に使わないとバイタルが乱れるので

ナルシストの先生の麻酔は上手だったということですね〜

薬ごとの特徴を覚えておきましょうね。



昇圧薬、降圧薬、カテコラミンについてはまた後日 したいですね。

今日はここまで😄





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