血小板ってそもそも何ぞ。手術するには何万μL必要なの?
今回は血小板について詳しく勉強していきましょう!
血小板減少症の患者さんの挿管困難の一例
昔夜勤中にICUに挿管困難の応援に呼ばれて、挿管困難セット揃えて向かったら
換気は何とかできるけど(といってもSpO2は90%前後)
そこにいた先生たちは挿管できず
何度も失敗しているからすでに口腔内吸引すると多量に出血が引ける状態で…
ITP(特発性血小板減少性紫斑病)で血小板が3万とかで
かなり出血傾向のある方だったんですよ。
喉頭鏡じゃ見えないとかで、ビデオ喉頭鏡を使うけど
血で汚れるから画面が見えない。
そうして待機だった麻酔科の先生が到着したんだけど
喉頭鏡で見て、甲状軟骨を押すとかも無く、なんと1発で挿管しちゃいました。
そして「マジール鉗子貸してください」と言われて手渡すと
他の先生の手技によって抜けたと思われる歯を拾って
「はい、歯取れました」と渡され
「それじゃ」って帰っていきました。
かっこよすぎですK先生。
後日「先生には声帯やエピグロが見えたんですか?」って聞いたら
「いや全く見えなかったけど、感覚で何となく分かりますよ
あの出血でエアウェイスコープで挿管するなんて無理ですね〜
汚れて見えないの分かるでしょうけど、みんなパニックだったんでしょうね〜」
って笑ってました。
プロってすごいわ!!!
ちょっと話がそれましたけど、
今日は血小板に限定して考えていきたいと思います〜!
そもそも血小板ってなに?基準値、寿命は?
血小板は骨髄中の巨核球と呼ばれる細胞の一部が断片化して末梢血中に出現したもので
血中に出てきた血小板はまず脾臓に取り込まれてから、徐々に循環血中に現れます。
脾臓に取り込まれた血小板のことを脾内血小板プールといって、全体の血小板の1/3はここに存在しています。
ここで問題!血小板の基準値は?
答えは、15~35万/μLですね。
もう一問。血小板の寿命は何日でしょうか?
答えは8~10日です。
前も抗血小板薬の時にチラッと言いました。
↓過去記事も参考にしてください。
molsama.hatenablog.com
過去問
今度は過去問を解いてみましょう。
手術やEpiにはどのくらいの血小板が必要?
一般に外科の手術時には5万/μL程度の血小板が必要と言われています。
答えはCです。
血小板数が2~3万以下であれば皮下や粘膜下の自然出血を生じ
5万前後で打撲などの外力によって皮下出血が生じます。
ちなみに10万以下で、硬膜外麻酔で穿刺による硬膜外血腫を合併するリスクがあります。
血小板が減少する疾患
血小板が減少してしまう疾患として有名なのが
最初に書いたITPとHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)ですね〜
疾患の詳細はリンクを参照くださいませ。(逃げた)
前にHITの方の心外の緊急オペについたときは
ヘパリンが使えないため
人工心肺をするために大急ぎでアルガトロバンを取り寄せて
結構大変だった覚えがあります😱
他にも再生不良性貧血や急性白血病に血小板産生障害を合併したり
DIC、溶血性尿毒症症候群などでは血小板を消費し減少します。
緊急で血小板減少症の患者さんってたまにいらっしゃいますよね。
待機手術なら前もって血小板輸血など準備できますが
緊急手術だとこうはいかなかったりするので怖いですよね。
ぜひ覚えておいてください٩( 'ω' )و
今日はここまでー✨