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基礎から学ぶ分離肺換気とダブルルーメンチューブ

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今日は分離肺換気とダブルルーメンチューブについて詳しく勉強しましょう🎶

分離肺換気はどんな時に行うの?

①手術野を確保したいとき

肺が動いていると手術の支障になるため、手術側の肺を止めます。
呼吸器の手術とか、胸腹部の開胸大動脈手術とかですね。

②膿や血液が他の肺に流れ込むのを防止したいとき

例えば右の気管から出血していると普通の挿管チューブでは左の気管に流れ込んでしまいますが、分離肺換気用のチューブなら予防できます。

③大きな気管支瘻により換気できないとき

この場合片肺換気の方が呼吸が安定します。

④肺胞タンパク症で気管支肺洗浄を行うとき

肺胞に溜まったサーファクタントを洗い流すので、もう片側の肺に生食が流れ込まないようにします。


分離肺換気に使用するチューブの種類と特徴

①ダブルルーメンチューブ

一番メジャーなやつですね✨


二腔構造になっていて、術中片肺換気したい時は片側のチューブをクランプするだけ。

だけって簡単に言いましたが、位置調整が難しく、位置がズレると換気不良となるのがデメリットです。


左用と右用がありますが、基本的にはどちらの肺の手術でも左用を使います。

なぜかというと、主気管支の長さは右よりも左が長いので
左用の方がチューブの留置が簡単だからです。

右用は主気管支が短いのでチューブやカフによる気管支の閉塞が起こりやすく、位置の調節が難しいんですね〜💡


でも右用じゃないとダメな場合もあります。

左肺全摘術とか、左主気管支の閉塞があるとかですね。


ダブルルーメンの良いところは、術側の肺の十分な脱気が簡単にできることです。

気管支ブロッカーでは脱気できますが、内腔が狭い分時間がかかります。


②気管支ブロッカーとユニベントチューブ

気管支ブロッカーは、まず普通の挿管チューブを挿管し、換気を止めたい側の気管支にブロッカーを挿入して、カフを膨らませると片肺換気ができる仕組みです。

気管支ブロッカーは、側臥位になったあとに急に片肺換気をしなければいけない!という時に本領発揮します。


あともうひとつメリットがあります。

術後に人工呼吸管理をしなければいけない時
ダブルルーメンチューブだと普通の挿管チューブに入れ替える必要がありますが

気管支ブロッカーは普通の挿管チューブを使用しているので気管支ブロッカーを抜くだけで管理が楽です。


ユニベントチューブというのは普通の挿管チューブと気管支ブロッカーが一体化した製品です。


ダブルルーメンチューブの挿管介助と位置確認

片肺換気の麻酔はこれが一番大切といっても過言ではないかも。

聴診法のみでの位置確認でOKと思っても、気管支ファイバースコープで確認すると約80%が異常だそうです。

気管支ファイバーでの確認が必須ですね。


よく一年目さんがダブルルーメンの挿管介助で困っているのを見ます。

順番ややり方は麻酔科医によって異なるので確かに慣れないうちは混乱するかもしれませんが、何をやっているか分かれば挿管介助も楽なはず…


まずダブルルーメンを挿入したら気管側のカフ(白)を膨らませて、食道ではなくちゃんと気管に入っているかを確認します。(省く先生もいる)

次に気管支側のカフ(青)を膨らませ、左右どちらかのチューブをクランプして片肺換気をして、先端が左の気管支に入っているか聴診法で確認します。(省く先生もいる)

その後気管支ファイバーで細かい位置を調節していきます。

このファイバーを左右どっちから見るかって話ですけど、最初に聴診法をしていない先生はちゃんと左の気管支に入っているかまず青から見るってこともあるし、左に入ってる自信がある先生は白から見ることもあるだろうし

最初から先端を主気管支で止めておいて、気管支ファイバーで見ながら左の気管に入れていく先生もいますし

もうこの辺は先生に合わせていきましょう😆

チューブの位置を動かす時はカフを抜きましょうね✨


熟練していないと、気管支の解剖的に右に入りやすいのでチューブの先端が右の気管支に入っていたり

ファイバーで見ても主気管支と気管を間違えてしまうこともあります。
(先生達は1つ目の分岐部を「カリーナ」、2つ目を「セカンドカリーナ」と呼ぶことが多いので、耳を傾けて見るとどこを見ているか分かるかも。)


余談ですが、以前ある麻酔科の先生が何度やっても右の気管に入ってしまって30分くらい頑張っていて、見かねた呼吸器外科の主治医がやったら一発で左に入りました(笑)

左に入るようにグルッと回せばいいみたいですけど、やっぱり先生の技量によるんですね。


気管支ブロッカーの場合も同様に左の気管支に挿入するのが難しいので、気管支ファイバーを使用するのが推奨されています。


片肺換気中の肺血流はどうなるの?

片肺換気中は当たり前ですが片側の肺しか呼吸していません。

なので患側の肺の血流は酸素化されずに心臓に返ってくるわけで、普通に考えると酸素の量を多くしなければ酸素化は悪化するはず🤔

でも必ずしもそうではないんです。


片肺換気は側臥位で行うことが多いですが

側臥位だと重力によって下の肺の血流の方が多くなるので換気側(健側)の肺の血流が良くなります。


また、酸素化が悪いと肺血管は収縮する仕組みが備わっています。
※低酸素性肺血管収縮(HPV)といいます。

なので非換気側(術側)の血流はさらに少なくなります。


このような機序により、片肺換気でも比較的酸素化は保たれます。


酸素化が悪化することももちろんあります。

非換気側(健側)の肺が下になっていれば、痰や血液がたれこみやすくなりますし

吸入麻酔薬や血管拡張薬は先程説明したHPVを抑制します。

チューブの位置がズレていることもあるので、術中も気管支ファイバーで確認したりします。

片肺換気中に低酸素血症になったら?


①吸入酸素濃度を上げる

②換気側の肺にPEEPをかける

③非換気側(術側)の肺に酸素を送る

④非換気側(術側)の肺に持続気道陽圧(CPAP)をかける

⑤SpO2 90%以下が続くようなら、一時的に両肺換気に戻す

これらの方法で対処します。



過去問 分離肺換気


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分離肺換気のための特殊なチューブについて正しいのはどれか。(3つ選択)

(1) 気管支ブロッカーを用いた方法では,脱気に時間がかかる。
(2) 気管支ブロッカーを用いた方法では,気管支ファイバーは不要である。
(3) 二腔気管支チューブ(ダブルルーメンチューブ)は,通常の気管チューブよ
り挿管しやすい。
(4) 二腔気管支チューブ(ダブルルーメンチューブ)には,左用と右用のチュー
ブがある。
(5) 二腔気管支チューブ(ダブルルーメンチューブ)は,気道分泌物や出血の多
い症例に適している。

********




答えは145です。分かりましたか?😊


今日は分離肺換気について勉強しました。

私はダブルルーメンチューブの挿管介助が好きなんですが、後輩ちゃんは毎年苦手だと言っている気がします。

分離肺換気やダブルルーメンの理解が足りなくて苦手意識があるのかなぁと思うので、今回の記事で少し理解が深まって苦手意識が少なくなれば嬉しいです✨

気管支の解剖も覚えると、さらに楽しくなりますよ😊


今日はここまで〜✨







カラー写真で一目でわかる 肺外科手術の麻酔〜ダブルルーメンチューブ、気管支ブロッカーによる一側肺換気の基本とコツ

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