PETCO2とは?カプノメータの波形を読めるようになろう
オペ室に来た1年目さんが最初に混乱するのが
カプノメータだと思います。
学生の時にカプノメータなんて習わないし、病棟実習で見ることもほとんど無いでしょう。
オペ室に配属されて、初めて麻酔器を見て、この波がカプノメータでね、この値が呼気終末二酸化炭素分圧で…って言われても
ハァ?カプノ…?呼気終末…?て感じですよね〜
さらに、こんな疾患ではその波がこうなって、なんて言われて頭パンパカパーンですよね。
わかりみが深い(流行りに乗りたかった)
今日は過去問に沿って解説しながら勉強していきます。
過去問① 必須のモニター
いきなりですが、周術期管理チーム認定試験の過去問を解いてみましょう。
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日本麻酔科学会の指針で必須とされる全身麻酔時のモニターはどれか。
(1)カプノメータ
(2)脳波モニター
(3)筋弛緩モニター
(4)心電図モニター
(5)パルスオキシメータ
a (1),(2),(3)
b (1),(2),(5)
c (1),(4),(5)
d (2),(3),(4)
e (3),(4),(5)
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145で正解はCです。
つまり、
カプノメータは心電図とパルスオキシメーターに並んで、オペ室で必須のモニターなのですね〜!
脳波と筋弛緩モニターも大事ですけど、無くても何とかなりますね。
カプノメータは無いと困るんです。なぜでしょう?
過去問② カプノメータはなぜ必要?
その答えのひとつを理解するために、もう一問。
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気管挿管の成功を確認する方法で最も確実なのはどれか。
a 心電図
b 胸部聴診法
c 腹部聴診法
d カプノメータ
e パルスオキシメータ
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答えはもう察したと思いますが、dのカプノメータです。
そもそもカプノメータとは?
カプノメータは、呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)を測定するモニターです。
呼気がなければカプノメータは出ません。(食道挿管してすぐは少し検出されることもあります)
患者さんがきちんと換気をしているか、確実にわかる方法というわけです。
胸郭の動き、胸部聴診ももちろん参考になります。
腹部聴診で食道挿管になっていないか確認もできます。
ですが、絶対にすぐに換気をしているか判断できる方法としては、断然カプノメータが正確で確実です。
カプノメータで何がわかるの?
PETCO2によって換気や呼吸機能の評価ができます。
それだけではなく、人工呼吸器の不具合がないかの確認、そして循環の指標にもなるんですよ。
↑これだけのことが分かるのです。
(下記のサイトより参照)
コヴィディエン カプノグラフィ
もちろんバイタルや他の症状などを一緒に見て判断しますけどね。
全部ひとつずつ説明したいですが今回は基礎編なのでやめておきますね。
これだけ必須のモニターですから、周術期管理チーム認定試験の過去問も毎年出題されています。
必ず押さえておくとこですね💡
過去問③ カプノグラムの波形
では波形の問題。
答えはbの慢性閉塞性肺疾患ですね〜。
波形で呼気延長がわかる
カプノメーターの基礎はこちらのサイトがわかりやすいので、そもそもカプノメータの波形の意味自体が全くわからない方はまずこちらから見るといいです✨
問題に出てくる図のような
立ち上がりがなだらかで、プラトー部分が右上がりの波形は、呼気延長の所見です。
気道狭窄や喘息発作、気管支攣縮など何らかの呼出制限があるということです。
ただ気管チューブや呼吸回路の不完全閉塞でも同じような波形になるので注意しましょう。
ちなみに完全閉塞となれば呼気を検出できないので、波形は消失します。
過去問④ 心拍出量との関係、サイドストリーム方式
復習がてら、最後に問題を解いて終わります。
ちょっとレベルアップ。
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カプノメトリについて正しいのはどれか。(2つ選択)
(1) 心拍出量が増加すると PetCO2 は上昇する。
(2) 肺塞栓症のとき PetCO2 は急激に上昇する。
(3) 喘息発作ではカプノグラムのプラトー部分は右下がりになる。
(4) メインストリーム方式は呼吸回路からサンプルチューブを介して測定する。
(5) 麻酔器の二酸化炭素吸収剤が劣化するとカプノグラムの基線が0にならない。
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解説
答えは1と5です。解説しますね。
1、心拍出量とPETCO2の関係と考えるとややこしいかもしれませんが
PETCO2が上昇するか下降するかというのは、体にCO2が溜まるか溜まらないかを考えたらすぐ理解できます。
PET CO2が低下する因子には、過換気によるPaCO2低下、低体温による代謝率減少
肺塞栓症、心拍出量低下による肺血流量の低下など
PET CO2が上昇する因子には、低体温によるPaCO2の上昇、高体温による代謝率上昇
心拍出量増加、CO2気腹、閉塞性肺障害などです。
2、肺塞栓では急激に低下します。
3、喘息発作では右上がりになります。
4、問題文はサイドストリーム方式ですね。
メインストリーム方式は、呼吸回路内にアダプタとCO2センサーが組み込まれていて直接測定するものです。
5は上述しましたね〜。まる!
今日はぎっしりカプノメータの過去問解いてみましたが、いかがでしたか?
必須で覚えて、確実に点とっていきましょ〜😆
今日はここまで!
カプノメータと一緒に血ガスも勉強するといいですよ。
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