末梢神経障害のリスク因子とは?血流低下の機序から理解しよう
今日は末梢神経障害について勉強します。
はじめに
私が幼かった頃ですが、すごく寝相が悪くて
朝起きたら頭と足反対向いてるとかが普通にありました。
そんな寝相の悪さだから変な体制になって神経を圧迫してたんでしょう
朝起きたら腕の痛覚が全くなくて動かせないってことがたまにありました。
自分の手じゃなくて肩からゴムをぶら下げてるような感覚で
ブランブラ〜ンと動かして遊ぶのが好きで。
数分すると血流が戻って急激に痺れ出して
「うおおおお…」って歯食いしばって悶え苦しむんですけどね(笑)
彼女を腕枕したまま寝ると同じようになるので
腕枕症候群とかハネムーン症候群って名前があるそうですよ。
皆さんも経験がありますか?
手術中は患者さんが意識がないので、神経障害が起こるリスクも高まります。
知識を持っていないとインシデントに繋がります。
神経障害については過去問でも頻繁に出てきます。
神経障害についてシリーズで勉強していきたいと思います✨
今回は基礎編です。
過去問 末梢神経障害
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周術期の末梢神経障害の危険因子について,誤っているのはどれか。
a 喫煙
b 肥満
c 術中低体温
d 4 時間以上の手術
e 3 時間以上の駆血
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答えはbです。
ちなみにこの問題は、最新の周術期管理チーム2018年B問題から引用しています。
解説していきますね。
末梢神経障害のリスク因子とは?
手術による末梢神経障害のリスク因子にはいくつかあります。
普段から神経障害を起こさないように気をつけているとは思いますが
リスクの高いケースでは特に注意しなければなりません。
①糖尿病の合併
高血糖が続くと末梢神経の代謝に異常をきたしたり、
栄養血管が傷ついて血流が低下し神経線維が破壊されます。
神経障害になるリスクが高いので注意しましょう。
また糖尿病が重度になると足の感覚がなくなり画鋲が刺さっても気付かないとも聞きます。
痛みがないために神経障害や皮膚障害の異常に気づかないことがあるので
体位固定やフットポンプなど十分注意する必要があります。
②末梢血管疾患の合併
末梢血管疾患というのは閉塞性動脈硬化症や末梢動脈瘤など
末梢の血流が悪くなる疾患を指します。
血流不足により酸素や栄養が神経に届かなくなることで、末梢神経障害のリスクが高まります。
③術中低体温
低体温により末梢血管が収縮し血流が悪くなるので、神経障害のリスクが高まります。
手術体位の関係などで上肢しか温められない場合で
さらに砕石位など下肢を挙上している時は血流低下が予測されます。
⑤喫煙(術前1ヶ月以内)
喫煙により血管内皮が傷つけられることに加え
タバコの成分により血液中のコレステロールが酸化することで動脈硬化になりやすいです。
結果血流が悪くなり神経障害のリスクが高まります。
⑥やせ(BMI20以下)
やせていると神経を守る脂肪が少ないため
圧迫によって血流が低下しやすくなります。
BMI20以下というのがポイントですね。
WHOの基準値的にいうと痩せは18.5以下であり、20は普通体型ですからね。
問題文の肥満は間違いです。
⑦長時間手術(4時間以上)
体位による圧迫により血流が低下し神経障害のリスクが高まります。
ちなみに褥瘡ハイリスクケア加算の対象は6時間以上となります。
ややこしいですが、こちらも過去問に出ているので一緒に覚えておきましょう。
⑧長時間の駆血操作(3時間以上)
こちらも血流低下によるものです。
3時間以上と書かれていますが、3時間以内なら大丈夫というわけではないので
できるだけ早期に圧迫を解除することが大切です。
今回は基礎編でした。
次回は具体的な神経障害、良肢位などを勉強したいと思います。
今日はここまで😆
主にこちらの書籍を参考にしています。
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