オペ室ナースの勉強blog

手術室看護師に役立つまとめブログ。周術期管理チーム認定試験の対策も✎

オペの時にどうして指輪を外さなきゃいけないの?

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以前タトゥーの方のオペのポイントで指輪についてもちらっと触れて
今度詳しくやります、と話したので

今回は指輪について詳しく話していきます!



指輪やピアスはなぜ外さないといけないの?

紛失のリスクがある

まず第一に紛失のリスクがあります。


貴重品やアクセサリーは持ち込まないですし、

補聴器などもよっぽどの理由がない限り外してきてもらいます。



体や物を傷つけることがある

アクセサリーのデザインによっては
当たっている体や物を傷つけてしまうことも有り得ます。


感染源になることがある

アクセサリーを清潔にしていなかったり、
ピアスなどの傷口が感染源になることもあります。


舌ピアスは胃や気管に落ちるリスクもあります。


血流が悪くなることがある

あと大事なのは点滴をすると体が浮腫むということです。

多かれ少なかれ、周術期にはみんな誰しもむくみます。

浮腫んで指輪が締め付けて、指先の血流が悪くなることがあります。



電気メス熱傷

電気メスを使った際に

指輪やアクセサリーの金属に電流が流れて熱傷することもまれにあるようです。



おわりに


ということを踏まえて
ちょっと思い出話をしたいと思います。


昔術前訪問に行った際、指輪が外せない方がいました。


その手術ではバイポーラのみというのは難しくて
その方は指輪がくい込んでおり、ゴム手袋などの絶縁体を挟むのもかなり難しそうだったため


上に書いたようなリスクをお話しした上で

「できる限りの努力はしますが、指輪が外せないと切らせて頂くこともあります」

と伝えました。



それと

全身麻酔で眠っていただいた後に力が抜けて抜けやすくなることもあるから、頑張ってみますからね」

と伝えていました。


患者さんは「わかりました、全然切ってください!!」
と仰っていたのですが


そりゃ何十年分のたくさんの思い出の詰まった指輪
切るなんて嫌に決まってますよね


当日来てみたら、患者さんの指がパンッパン!
真っ赤に腫れ上がっていました。


夜中まで外そうと頑張ったというのです。


でも指輪はしっかりついてます😨


頑張ったけど外せなかったようです。




何もしていなければ全麻かかって筋弛緩すれば
外せたかもしれないのに…

病棟の看護師さんも気付いてたなら止めて欲しかった…


色々思いましたが、こうなってしまっては仕方ありません。


全麻導入前に再度、切るかもしれない旨を伝えました。

IVラインは反対の腕で取りました。



さて、全麻導入したあと。

私の病院で指輪が外せないと聞くと
大抵手伝いに来てくれてファインプレーを見せてくれる頼りになる先輩がいて

その方と協力して外すことにしました。



こういう時に勝潤剤としてうちのオペ室で役に立つのが
イオダイン(ヨード)の入った手洗い用石鹸です。


ただの石鹸だとすぐ泡が乾いてしまいますし、カテゼリーなんかもベタベタしてて使いにくくて
そのイオダイン入りの石鹸はヌルヌルが続くのでちょうど良いんです。


それとタコ糸。

だいたいいつもこの2つで何とかなります。



先生たちは待ちますから出来るなら取ってあげてください
と言ってくださいました。



まずゴム手袋が通る隙間がないか確認…

無理でした。

タコ糸を通す隙間もありません。



指輪を外そうと頑張れば頑張るほど、手が浮腫んできている気が😨


どうしようか悩んだ時、その頼りになるスタッフさんが

あまり良い方法ではないかもしれませんが
タコ糸で浮腫んだ指をギチギチ隙間なく巻いていき、指を細くする作戦を施行。


これが幸をなし、(といってもそこからも長かったのですが)
1時間かけて指輪を外せたのでした。



でもこれだけ弄り倒した指は
もともとの腫れがさらにひどくなっているようでした。


術後患者さんが覚醒した時に

第一に指輪が外せて切らずに済んだことをお伝えして、とても喜んでくださいましたが

やはり手術と関係ない部位の腫れというのは
見ていてモヤッとなる、気分が晴れないものでした。



術後訪問して、神経症状はなく
腫れと赤みも数日で良くなったので、ホッとしました。



もしここを見ている方の中で、指輪が外せない方がいらっしゃいましたら

腫れるほど無理して外すようなことはしないように
どうかよろしくお願いします(笑)





今日はここまで😄



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