オペ室ナースの勉強blog

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手術数日後にいきなり急変?!肺塞栓に要注意

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今日は肺塞栓について勉強します!


ちょっと小話から。

肺塞栓の思い出


以前あった話。


病棟に術前訪問に行ってた時、リハビリ室でドクターハリーの放送がかかりました。



あららーリハビリ室かー大変そうだなー


と他人事でいたら、急に病棟がバタバタしだして救急カート走らせてるから


あららー急変かな?と思ったら


数分後にそのドクターハリーで急変してたと思われる患者さんがストレッチャーで病棟に帰ってきました。




リザーバーで酸素投与はされてたけどこんなすぐに病棟に帰ってこれるってことは、ちょっと落ち着いたんかなー


とまたまた他人事でした。



そうして術前訪問を済ませて私がオペ室に戻ると、緊急オペが来るらしく、心外の開心の準備でみんなバタバタしてます。



何事かと聞くとさっきのハリーの患者さんでした。


血栓PA(肺動脈)を完全閉塞しかけてるらしく緊急開心オペ。


しかも数日前にうちでオペされた患者さん。


リハビリしたら足から血栓が飛んだみたいです。


全然他人事じゃありませんでした😱



開心して血栓を摘出して無事に帰っていかれました。良かった良かった。


PEは小さければ抗凝固薬とか血栓溶解療法とか心カテで何とかなるんですが


外科的手術になると大変ですよね💦





PEについては患者さん向けではありますが下記のサイトに詳しく載っているので参考にしてください。
肺塞栓症 国立循環器病センター





PEって過去問にも結構出てくるので

今日はPEについて勉強したいと思います〜



過去問① 抗凝固療法中の合併症


*****

抗凝固療法を受けている患者の麻酔を行う際,周術期に注意すべき合併症を挙げよ。 (3つ選択)

(1) 肺塞栓
(2) 上気道炎
(3) 肺線維症
(4) 心筋梗塞
(5) 硬膜外血腫

*****


これはサービス問題ですかね?


周術期に抗凝固薬、抗血栓薬を休薬しますが


もともと血栓症のリスクが高くて薬を飲んでいる患者さんですから当然血栓症のリスクが高まりますね。


硬膜外血腫については、出血傾向が残存していることでリスクが高まります。


上気道炎と肺線維症は関係ないですので


答えは145です。










次の問題。

過去問② オペ後のリスク


*****

75 歳女性。大腿骨頭置換術後 3 日目,突然胸痛の訴えがあり,チアノーゼを認めた。
SpO2 が 82%だったため,酸素投与を開始したが SpO2 は 90%前半であった。脈拍の
触知はやや弱い。疑われるのはどれか。
1)無気肺
2)肺塞栓
3)肺炎
4)気道浮腫

*****




答えは2です。

解説していきますね。

ポイント① 突然の胸痛


いや今日肺塞栓症についての記事だから
肺塞栓が答えっていうのは誰でも察しますよね(笑)


まず突然の胸痛がポイントですね。


無気肺と気道浮腫はSpO2の低下はありますが、胸痛の症状は出ません。


肺炎で胸痛が出ることはありますが、突然というとやはり肺塞栓ですね。



ポイント② 大腿骨置換術オペ後3日目


本格的にリハビリを進めだしたタイミングですから、冒頭に書いたイベントと同じ状況ですね。

人工股間接置換術は、血栓症ハイリスク群になります。

過去記事も参考にしてください。
molsama.hatenablog.com


ポイント③ 酸素投与で大きな改善が見られない


肺塞栓では肺血流の分布異常が起こる(=詰まった血管から先に血流がいかないということ)ので


肺胞換気が正常でも換気血流比不均衡が増大します。(=換気が多くて血流が少ない、悪い呼吸状態ということ)


そのため酸素を上げたり換気量を増やしたりなど

換気条件を変更したところで大きな改善が期待できないので

速やかに塞栓を解除する治療を行う必要があります。

ポイント④ カプノメータの変化

過去問には記載がありませんが
肺塞栓症では呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)が上昇するというのも、過去問でよく出題されるポイントです。


カプノメーターについては
↓こちらを参考にしてください。
molsama.hatenablog.com




今日はここまでー✨





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