【本当にあった怖い話】局麻中に患者さんの呼吸が止まった時、どうする?
最近あった話。
緊急オペで90歳代の方の硬膜下血腫の穿孔洗浄術につきました。
私の病院は局所麻酔の時は重症でないかぎり麻酔科はおらず、薬や呼吸管理は看護師がしています。
最初主治医から
「ソセゴン、セルシン半筒ずついって~」
と言われました。
でも入室時JCS3程度だったのが、数分で明らかにレベルが落ちてて声掛けても寝ている状況。
ちょっと歳も歳だしセルシン入れると息が止まりそうで怖いなぁと思ったりするんですけど…
と腰を低くして聞いてみたら
「確かにそうですね〜。じゃソセゴンだけで、術中指示時セルシンいってください」
と言われてホッとしました。
でもソセゴンだけでも呼吸抑制が怖いので、念のためにカプノメーターを口元に置いて
呼吸回数もモニタリングし始めました。
でもカプノメーターが少しでもずれるとアラームがうるさくて。
口元にテープで止めさせていただいたけど、マスクをつけていないのでうまく出ないこともあり。
先生からも「なんのアラーム〜?」と毎回毎回聞かれるので
ソセゴンいったあと息はしっかりされていたし、いったんカプノメーターのモニタリング設定をオフしたんですよ。
穿頭の時も患者さんは静かでバイタルも安定しておりホッとしてたのですが、血腫洗浄しだしたら急に体を動かしはじめて。
抑制はさせていただいてたけど、本当に危ない。
主治医「セルシン半筒いって〜!」
来たか…と思いましたが仕方ない。
勇気を出して急いで半筒入れると、SpO2がみるみる下がり80%台へ。
主治医「息してる?!酸素 5Lいって!」
大急ぎでマスクをつけて酸素流しだし
呼吸見るけど…うーん…してはいるけど…って感じ
「回数はかなり少ないですが、浅く呼吸されてます!」
SpO2が90%後半に戻ってきてみんなホッとしたら、またすぐSpO2が下がりだしました。
主治医「とりあえずしばらく酸素10Lにあげて!」
酸素あげて、患者さんを見るといびきかいて陥没呼吸になってます。
下顎を上げて胸郭が上がりました。
主治医「息してる〜?!」
「下顎あげて呼吸しっかりされてます!」と報告。
左手で下顎あげたまま、右手で記録。
ここでカプノメーターのモニター設定を戻してないことに気づく。
あーアラーム鳴ろうがつけときゃよかったかな…
患者さんの安全を守るのが優先でセルシン急いでたので、そんな余裕はありませんでした。
あとの後悔先に立たずってやつです。
5分ほどすると下顎を上げなくてもしっかり胸郭が上がるようになり酸素も5Lに戻し
手が離せたのでようやくカプノメーターが使えたのでした。(今更感…)
セルシンいって呼吸が止まるのは予想はしてたのですが、SpO2下がっている状況で応援呼ぶ暇も無いですし
こんなオペでも私の病院では一人でつくので、
心霊系の話よりよっぽど怖いです😭
セルシンの静脈内注射って、病棟なら緩徐に数分かけていくものだと思うのですが
私のオペ室では半筒一気にいけと言われます。
他の病院はもしかして違うのかな?
昔、脳外ではないですが指示通りソセゴンとセルシン一気にいって、呼吸が止まってアンビューバッグで換気したことがあります…
その時はさすがに麻酔科の先生の応援呼びましたけど…
麻酔科の先生来るまでが本当に怖かった!
そういうこともあるから、アンビューの位置確認とか、麻酔器のリークテストやセッティングとか
ちゃんとしておかないといけないですね…😭
最近はプレセデックスが便利で、脳外以外でセルシンをいくことはかなり減りました。
さて、途中10Lの高濃度酸素を流していたので
関連の問題を解いてみます。
健康な成人が純酸素吸入したあと呼吸停止し酸素飽和度が低下し始めるまでに、5分以上の余裕があると言われています。
ただ呼吸機能が悪い方や機能的残気量の小さい肥満、酸素消費量の多い小児などでは時間が短くなります。
吸入酸素濃度が高いと良いことばかりではありません。
吸収性無気肺が生じたり、酸素毒性により、中枢神経障害や肺損傷をきたす可能性があります。
3はその通りで定義はされてないです。
4は、新鮮ガス流量を増やすと気化器の濃度変化が短時間で反映されるため、導入覚醒は早くなります。
よって誤っている4が正解です。
今日はここまで( ˙ᵕ˙ )✨
セルシンほんと怖いです…